お金の学校 ~富裕層への道~

学校では教えてくれない家庭のお金の話を実践を通じて解説します

介護保険制度の考え方と意見

 

介護保険とは

 社会保険の1つであり、文字通り「保険」である。40歳以上から介護保険料を徴収し、介護が必要になった方へ、「現物(介護サービスそのもの)」によって給付を行っています。

 

 市町村が保険者(介護保険の主導者)をしていて、介護保険を受けるためには、介護認定審査会というところが、主治医の意見と照らし合わせて介護が必要か、また、どの程度の介護が必要かということを判定する。


 市町村というとかなり利用者に近い存在であり、濃厚な介護を受けるために便宜を図ったなどという事案が出てもよさそうですけど、この介護認定審査会の判定について不正があったなどということは聞かないからすごいものだなと個人的には感心しています。

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登場した背景

 平成1桁台のころにはすでに少子高齢化が将来日本を襲うことは分かっていた。また、国民の多くが第1次産業(特に農業)に従事し3世代が同居しているような家庭では家族で高齢者の介護をすることも可能でした(お嫁さんの負担は相当なものだっただろうが、現実として介護をしてきた)。しかし、高度経済成長期の工業化を背景として、国民が第2次産業、第3次産業へシフトしていきました。その結果、都市圏への人口移動が起こり、3世代同居の世帯は減少、家庭内で高齢者の介護をするということができなくなっていってしまいました。

 

 そこで、社会全体で高齢者の介護を支えていこうという動きになっていきました(医療費の高騰を抑えるために、医療から介護を切り離したという話もあるが本当かどうかは知らない)。


 大まかにはこんなところで介護保険制度が始まったんです。

 

気になる財源

 実際に介護を受ける人は1割の負担である。そして、残りの9割のうち半分(全体の45%)は保険料で賄われており、「保険」と言えるのだが、9割のもう半分(全体の45%)は税金が投入されているのである。ここにも「保険」と呼ぶに呼べない「保険」が存在するのである(重ね重ね言っておくが、私は高齢者にはもっと濃厚で良質な介護が提供されるといいなと思っている)。

 

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介護保険の素晴らしい点

 介護保険介護保険法で規定されており、地域包括ケアシステムの実現が謳われている。若い人でもそうだが、高齢者ともなるとその土地に何十年も暮らしており、その土地で生きていきたいと思っている人がほとんどであろう。また、東京に暮らす高齢者と地方に暮らす高齢者では介護サービスとして求めるものが異なるのも想像できる。


 地域包括ケアシステムはそうした現状(要望?)に合わせて出来上がった制度であり、非常に実現性の高いシステムだと感じた。市町村が保険者(事業の主導者)であるもの、より安心して介護を提供してもらえるのではないだろうか。

 

問題点

 ここまで、読んでくださった方もお気付きになったと思うが、やはり問題点は「お金」の面である。

 

世代間での不公平感に対する考え

 決して私は「年金」が悪いと思っているわけではないことはあらかじめ断っておく。年金は年を重ね→働けない→貧困というリスクに備えるものである。一生貧困を知らずに100歳まで生きる人もいるだろう。そういう面で「保険」として価値があると思う。しかし、「介護保険」はどうだろう。介護は必要にならない人とは存在するのだろうか。長生きすれば、ほとんどの人が介護が必要になると私の気持ちとしてあり、あくまで、私の考えであるが、介護保険に税金が投入されていてもさほど違和感は感じない。あなたはどう感じますか?

 

世代内での不公平感に対する考え

 介護が必要な高齢者間での不公平感を是正しようという動きがあるようです。所得の低い高齢者の介護保険料は軽減し、お金持ちの高齢者には一律1割負担としていたものを2割負担へ、平成30年からは収入によっては3割負担にするようです。この動きは個人的にはいい方向へ進んでいるのかなと思っています。

 

 医療、年金、介護の分野はあくまで「保険」ということを考えると、財を蓄えている高齢者にはしっかりと自己負担をしていただき、各保険の懐事情をすこしでも改善してほしいなと感じる。そうやって、各保険への公費(税金)の投入が減少すれば、赤字国債の発行も減り、財政の健全化(もはや2020年の達成は無理そうですが…)へ近づきますし、将来の子供たちへのツケを回さずに済みますし、消費税だって上げなくてもすむかもしれません(それは無理か…)。


 ある日突然に高齢者になる訳ではありませんが、「高齢になれば蓄えたものは使い、それが尽きれば、社会保険で賄う。」そんな考えが一般化すれば世の中で回るお金も増え、若者へ回るお金も増え、少子高齢化も緩和されるかもしれません。そうなれば、いいなと私なんかが考えます。

 

ただし、注意点

 介護保険を含む、社会保険は格差を小さくするための所得の再分配である。再分配はいいことと思われがちだが、格差を0にすると歴史が証明しているように誰も働かなくなり社会は崩壊する。

 格差と再分配のバランスは常に考える必要がある。

 

それでもやっぱり

 現状を考えると、格差再分配のバランスなどと言っている場合ではないと考える。一刻も早い、社会保険の懐事情の改善それに伴う政府の財政赤字の改善を目指して、社会保険への安心感を増してほしいなと思っています。

 

最後に

 社会保険への信頼回復と信頼できるような改善を続けていってほしいなと感じています。少なくとも、お役人さんは一生懸命に改善策はないかと日々アイデアを練られていることが、方向性から伝わってきて、「いつもご苦労様です。ありがとう」この記事を書きながらそんな気持ちになりました。

 

 ↓社会保障全体について書いた記事に戻ります↓

maeken.hatenablog.com